まいど。
随分前から言っていた、今流行りのニュートリノ。
別段、自分が絡んでるわけではなくて”見学させてもらった!!”という話なんだけど。
加速器見れるから来ない?ってお誘いを頂き、あまりよく分らないままに参加。
正直なところ、量子力学のシュレディンガーの猫とか面白いな~と思ってた程度なので、ニュートリノがなんだかさっぱり分らない状態での参加。
一応、図書館で本を借りて読んではみたけど、”結局ニュートリノってなんなの?”と疑問が深まるばかり。
とりあえずは、すーーげーー機械が見れるという事だけでも大収穫間違い無しだし、、
そんな感じで一路、つくば経由の東海村へ。
とりあえず、本日のメインイベントはこんなでっかいヤツを施設内運搬の後、地下18メートルの穴の底に設置するという、訳の分らないイベント。
話はちょっと戻って、当日のレクチャー編。
潜入したのはJ-PRACなる施設。
もういきなり研究所チックな感じにドキドキ。
ここでとりあえず、本日の見学内容とここでなにやってるかのレクチャーを受けることに。
見学は予備知識があった方が二倍三倍楽しいのだ。
今回の見学をセッティングしてくださった先生というのが、噂には若き物理学者にして金髪ロンゲのユニークな方だと伺っていた。
とにかく、この先生の話が目茶面白かった。
正直、機械見れなくてもこの話だけで大満足だ、、と心底思った。
色々と間違ってるかも知れないけど、こんな話だった。
まず、施設全体はこんな感じで超デカイ。
左のリニアックってところから陽子を発射。
真ん中の三角のところで、加速。
そしたら、右の1600メートルの円の中でもっと加速。
んで、陽子をすーーげー加速してドーンとニュートリノを300キロ先のカミオカンデなる施設に発射。
そんな話の模様。
スゲェ!!のは分るんだけど、そもそもニュートリノってなんなん?それでなにするん?って所がやっぱり分らない。
そもそも、ニュートリノってのはNEWトリノじゃなくて、ニュート・リノらしい。
で、凄く小さくで反応しない粒子なもんだから、地球にもガンガン降り注いでいてもあっさりと通り抜けちゃう。
自分の体もガンガン通り抜けちゃう。
でも誰も実感しないし気付かない。
んで、このニュートリノがある程度の距離を移動する間に性質のちょっと違うニュートリノに変化するのではないか、つーかそうらしい、という事が分ってきたと。
そこで、東海村のこの施設からニュートリノ砲発射、カミオカンデにて変化が起こったかを観測するというのが主旨。
300キロ先の施設に命中させるて。
ゴルゴ13のレベルじゃねぇぞ、、、。
流れはこんな感じ。
陽子を物凄い勢いで投げて壁にぶっける。
そーすっと 、陽子がバラバラになって、色々なものに分かれる。
その中からニュートリノだけを取り出したいので、、、
ニュートリノだけを通過させる。
そして、そのニュートリノは真っ直ぐ、300キロ先のカミオカンデへ。
実のところ、ニュートリノ砲は陽子をバラバラにする工程で放射線とかバンバン出しまくりなので、コンクリートに包んで地下に埋めるような構造になっている。
でも、ニュートリノは前述したとおりに、地球だろうがなんだろうが真っ直ぐカミオカンデに向かっていく。
なんちゅうスケール。
こういう実験は他国でもやっていて、競争してる模様。
ここで先生曰く。
”物理学には二番手以下には価値はない。との事。
学者とか、学問ってよりも、アスリートの考え方だよねぇ。
こういう形で勝負してる人にはホントしびれる。
そんで、このJ-PARC、他の国との比較でいうと、施設の大きさとかはアメリカとかに劣るとの事。
要は、パワーに劣るらしい。
しかしながら、この実験。
一発打って、それを確実に観測、という物ではなくて、物凄い数のニュートリノを射出して偶然に近い形で数個捉える(観測する)という物でとにかく確率を上げるのが成功の近道らしい。
そこで、このJ-PARCの特徴としては、連射性能が無茶苦茶らしく。
能力=パワー×連射性能とすれば、このJPARCの能力は世界一との事。
そして、観測する側のカミオカンデも間違いなく世界一の施設。
とにかく、この実験の主旨としては合わせ技でぶっちぎりの性能らしい。
すげぇ、超かっこいい。
日本のもの作り、ここに極まれり。
もう滅茶苦茶応援する。
超がんばって!!!!!
この説明。
自分ではうまく書ける自信ないので、かなりざっくりとしか書いていないけれど、本当に隅から隅まで面白い話だった。
なによりもビックリしたのは、形の無い難しい話をこうも分りやすく、そして面白く伝えることが出来る先生が居たこと。
本当に頭のいい人ってこういう人なんだ、、、と、思い知らされた。
そんな先生が、この実験や物理学についてこう締めくくった。
”それで、ニュートリノのことが分ったとして、なにの役に立つんですか?”
かならず、こういう質問が出るとの事。
答えは”私にも、何に使えるのかさっぱり分らない”
それまでのユーモラスな語り口もあって、自分を含め皆爆笑。
”でもね”
凄いお金と施設を使って、その昔に電子を発見した人がいた。
その人も同じく、電子がなにに使えるか?同じく分らなかったそうだ。
だけど、今、我々が使っている、携帯やパソコンが電子の発見無しには成り立つわけが無い。
自分は東急ハンズが大好きで、例えば誰かにプレゼントをしようとして行く。
なにを買うか決めていかなくても、下から上まで色々なものを見ているうちに”これとこれを組み合わせたらいいプレゼントになるな” と思いつく。
携帯とかも同じで、携帯を作ろうと部品をすべて開発していたら時間が掛かって出来るわけが無い。
そうではなくて、現在ある、色々な技術を組み合わせたものが、携帯になる。
色々な用途、むしろ開発者が思いもつかなかった形で使われている部品も多いと思う。
私たち基礎物理学者は、ハンズのように色々なものを探しに来る人に提供する物を見つける事、このようなことが仕事だと思っています。
人の話で珍しく大感動。
自分は鉄をいじってるわけなんだけど、例えば30年前の人と比べたら道具も技術も相当進んでる。
多分、同じものをヨーイドンで作っても、より早く、より綺麗に作れると思う。
それも同じことで、現在はよりいいモーターが入った道具があったり、先人が見つけた技法があるからだったり。
そんな文化があって、その恩恵で今の自分があるわけで。
そしてできれば、自分もなにかを見つけて文化に参加できるといいな、、、と思っている。
この人達は、まさにそういう事をしてるんだ、、と思ったら、なんか、心の中で涙ボロボロ。
面白いこととか、便利なこととか。
なんかが生まれる傍にはがんばってる人がいるんだねぇ。
つづく。
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